橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

山本淳子さん サントリー学芸賞を受賞

山本淳子さんの『源氏物語の時代』については、4月18日に紹介した文学史・宮廷史の書ながら、宮廷の住人たちの飲みっぷりや酔態について多くの言及があり、酒呑みとしても見逃せない内容である。この本で山本さんがサントリー学芸賞を受賞されることになった。いち早くこの本の価値を見いだした(?)者としては、大変うれしい。ご本人の弁によると、「サントリーなだけに、酒好きの天皇を主人公にしたところが選考委員の方にうけたのに違いありません」とのこと。酒呑みが楽しめる文学史として、多くの人にお勧めしたい本である。

源氏物語の時代―一条天皇と后たちのものがたり (朝日選書 820)

源氏物語の時代―一条天皇と后たちのものがたり (朝日選書 820)