「天狗」東京駅前店
東京駅近辺で食事をと店を探したのだが、月末の金曜の夜だけあって、心引かれるような店は満員。こんな時にハズレがなくて頼りになるのは「天狗」である。ここは、東京駅にいちばん近い「天狗」。地下にフロアが二つあり、合わせるとけっこう広い。秋に入って、生牡蠣を置くようになった。ここの生牡蠣はニュージーランド産で、臭みがなくクリーミー。キム・クロフォードのソーヴィニョン・ブランとの相性がいい。このワインは、ボトルで二二八〇円。シャブリが一八八〇円だから、この店としてはかなりの「高級ワイン」だ。ネットで買っても、ほぼ同じ値段。新世界らしく濃厚で、まるでリースリングのように香りが強い。ようやく、秋めいてきた。スーツにネクタイ姿のサラリーマンが増えた。サラリーマン五人組の後ろの壁の上着掛けに、ほとんど同じ色、同じ生地の紺色の上着が五つ並んでいるのを見て、つい笑ってしまう。仕事の愚痴を大声で言い合っている五〇代の二人組も。若いカップルもちらほら。今日は食べなかったが、秋の「天狗」では松茸の土瓶蒸し(三八〇円)もおすすめ。多少の化学調味料臭さえ気にしなければ、まあまあ美味しく酒が進む。
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