橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

プラティパス・ピノ・ノワール

新世界ワインついでに、私が家でよく飲むワインを一本。オーストラリアは、ニュージーランドやカリフォルニアの一部と並んで、新世界らしい濃厚な果実味とヨーロッパ的な繊細さを兼ね備えた良質なワインの産地である。コストパフォーマンスの高いワインが多いが、その中でもわが家のお気に入りで「ハウス・ピノ・ノワール」としてよく飲んでいるのが、このワインである。ピノらしいベリー系のくっきりした味わいで、軟らかいタンニン。現在で回っているのは二〇〇一年だが、熟成した色合いもでていて、ちょうど飲み頃ではないだろうか。アボリジニアン・アートのカモノハシ(プラティパス)のラベルも魅力的。ピノ・ノワールブルゴーニュでよく使われる品種だが、最低二〇〇〇円前後出さないとブルゴーニュらしいものは飲めない。これは半分の値段でそれに近いものを味わえるお得なワインである。同じラベルの色違いで、シラーズもある。こちらはシラーズにしては控えめな味。大丸系のスーパー、ピーコックでも、九〇〇−九八〇円くらいで売っている。[rakuten:dwi:1375390:detail]