橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

ダブリナーズ・アイリッシュ・パブ

classingkenji2007-09-29

新宿三越アルコットの裏手、ライオン会館の二階にあるアイリッシュ・パブ。テーブル席を中心に立ち飲みスペースを配したスタイル。写真のように、ギネスの大きな鏡、ポスターやさまざまな小道具で、アイリッシュ風を演出している。店内ではギターの弾き語りのライブをやっていて、客の話し声も自然に大きくなる。静かに飲みたい人には向かないが、活気のある喧噪は、これはこれで快適に思える。客は、外国人が多い。英国系と思われる白人が中心だが、黒人やアジア系も。若い女性の二人組もちらほら。ビールは、ギネスとキルケニーがメインで、いずれもタップから注いだドラフトで出す。いずれも、パイント・グラスで九五〇円、ハーフパイントなら五〇〇円。泡はあくまでもクリーミー。ギネスはけっこうあちこちで飲めるから、ここではぜひ、キルケニーを飲んでみよう。正統派エールのやわらかな甘味と苦み、そして洋梨のような香りがある。ギネスとキルケニーのハーフ・アンド・ハーフも出す。その他、何種類かの瓶ビールと、サッポロのレギュラー品も出す。料理は、アイリッシュシチュー(一〇〇〇円)やコルキャノン(八〇〇円)、シェーパーズパイ(一〇〇〇円)などのアイルランド料理が中心。本物のフィッシュ・アンド・チップス(八五〇円)もある。会計は、キャッシュ・オン・デリバリー方式。賑やかな店なので、長居をしようという気にはならないが、美味いアイリッシュビールが飲みたかったら、ここに来るといい。赤坂や池袋にもある。個人的には、池袋店の落ち着いた雰囲気が好きだ。(2007.9.27)