橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

豪徳寺「祭邑」

classingkenji2007-08-23

原稿の仕上げのため、豪徳寺へ。狭い店内はほぼ満員だったが、幸い壁際の角の席がひとつ空いていた。角の席はテーブルが広く使えるので、仕事には好都合。飲み物は、ホッピー。この店のホッピーは、写真のようにキンキンに冷えたジョッキに氷を少量だけ入れてくる。こうすると、三冷に近い味で飲めて、しかもぬるくならない。万全の三冷を出す自信がない場合には、これがベストの出し方だろう。ただし、氷の分だけホッピーが余る。二口ほど飲んだら、注ぎ入れてまた泡を立てればいい。壁をみると、「ホッピー」と文字の入った、ほしのあきの水着カレンダー。手に入れると、高く売れそうだ。いつものように、カシラ、シロ、アブラなどを食べながら、原稿の手直しをする。
客は、全員カジュアルな服装のジモティたち。五〇代の夫婦、三〇代男性が一人、四〇代男性と五〇代男性が二人ずつ。ポロシャツ、縞模様の半袖シャツ、色の付いたランニングシャツなど。地下から上がってきた客が、「下は涼しいなぁ」と言う。一階はほぼオープンエアだから、たしかに暑い。しかし、モツ焼き屋はこうでなくてはとも思う。場所や値段は、前回を参照のこと。