橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「和食れすとらん 天狗 馬事公苑店」「キム・クロフォード・マールボロ・ピノ・ノワール」

classingkenji2007-08-21

今日は、近所(と言っても、自転車で10分ほどかかるが)の「天狗」へ。私は「天狗」チェーンを展開するテンアライド・コーポレーションの株主で、半年に一回、一万円分のチケットが送られてくる。株価は低迷していて、一〇〇〇株で四〇万円を切っているから、年に五%以上のリターンがある計算になる。ただし、無配。無配だから、剰余価値は搾取していない(と、思うことにする)。
今回は真夏なので、牡蠣はない。もっとも、「天狗」で出す牡蠣は南半球産で、あちらは冬だから十分採れるはずなのだが、日本人は夏には牡蠣を食べないということだろう。そこで今回は、肉料理を中心に注文。ビールを飲んだ後は、このニュージーランド産のピノ・ノワールニュージーランドは、良質のピノ・ノワールを生むことで知られる。新世界風の濃厚な果実味ではなく、むしろブルゴーニュのような繊細な味わい。これは、コストパフォーマンスがすばらしい。しかも、期間限定で定価二二八〇円のものを一三八〇円で出している。この二二八〇円という定価は、楽天あたりの市販価格とほぼ同じ。つまり、市価の半額近い値段で飲めるということだ。これは、おすすめ。今度、大人同士でワイン目当てに「天狗」へ行ってみてはいかが?最後は余分に一本注文して、家に持ち帰った。今、部屋のワインセラーに入っている。涼しくなったら、牛肉の煮込みと合わせてみよう。
馬事公苑店」などというと高級住宅地の中にあるようにみえるが、実は東京農大のそば。農大生か、あるいは近くに住むフリーター風が定食を食べている。子ども連れも多い。学生時代に飲んだ人たちが、天狗に連れてくる。ビジネスモデルとしてはいい線を行ってるようにみえるのだが、テンアライドは業績が悪化しているようだ。ビールはサッポロの大型タンクを使っているので美味いし、他の酒も悪くない。料理だって水準を行っていると思うのだが。メニューは少しずつ変わっている。今後に期待しよう。
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