橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

高円寺「かみや」

classingkenji2007-08-17

一軒目でモツ焼が食べられなかったので、途中で目をつけておいた「かみや」に入る。ビルの一階ながら、壁面に山型の屋根を取り付け、古びた暖簾と提灯が下がり、まるで一軒家のような雰囲気。看板には「行きに寄ろうか帰りによろか なれば行きにも帰りにも」と、都々逸風のコピーにかわいい豚の絵。これは、私好みの店に違いない。入ってみると、期待通り。店内はかなり広いが、ほぼ満員。左側が長いカウンターで、右側にテーブルが並ぶ。モツ焼、焼鳥、そして各種の魚料理、炒め物、揚げ物など、メニューは豊富。料理の値段は、367円、472円、525円が中心で良心的。
客は地元の常連客が大部分なのだろう。お盆のせいもあるだろうが、全員カジュアルな服装。三〇代男性三人組、五〇代男性の一人客、三〇代のカップル。五〇代の夫婦、二〇代の男性二人と女性一人の五人組。二〇代で男性三人と女性一人の四人組。五〇代夫婦と二〇代男性の三人組。二〇代カップル。五〇代男性と二〇代女性二人の三人組。家族連れが多い。親父が妻と子どもを居酒屋に連れてくる。こんな店はいい店に決まっている。こんな店の常連になりたいものである。(2007.8.12)