橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

恵比寿「さいき」

classingkenji2007-08-04

今日は、集中講義の二日目。終わった後、聖心女子大の先生二人と恵比寿で飲むことにする。そこで、以前から行きたいと思っていた「さいき」へ。この店について、私が新たに語るべきことはない。数々の文士が無名時代に通った店であること。常連さんが多いものの、一見客にも温かく接してくれる店であることなど。評判に違わぬ名店だと思った。最初は、お通しが三品。おひたし、酢の物、刺身。酢の物の味付けは品が良い。刺身は、天然物のワラサ(ブリの子)。茹でたての枝豆は、軟らかく香りがよく、薄暗く橙色がかった照明に映える。串カツは、幅広めに作ったものを揚げてから縦に切れ目を入れるという変わった流儀のもの。これも、おいしい。今度は一人で行って、カウンターに座ってみよう。常連さんたちは、いかにも話題の豊富な粋人たちという趣。きっと、面白いお話が伺えるだろう。(2007.8.2)