橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

恵比寿「たつや」

classingkenji2007-08-05

集中講義は、今日が最終日。少し早めに終わって向かったのは、恵比寿の焼鳥屋「たつや」。一階と地下があり、五時少し前にもかかわらず、一階は席が八割方埋まっている。なにしろこの店は、朝八時に開店して、閉店は朝方五時。二一時間営業という店なのである。最低四回くらい来ないと、店の全容は把握できそうにない。この店では、ホッピーを飲むに限る。ホッピーは白黒とも四三〇円。焼酎は外のポットから注いでいるから冷えていないが、ジョッキとホッピーは冷えているという「二冷」方式。ただし今日みたいに暑いと、焼酎が冷えていないせいでちょっと温く感じるのが残念。やきとりは一五〇円から一七〇円と少々高いのだが、けっこう大きさがあり、まあ許容範囲。席料などいっさいないから、ホッピーと串焼きだけ注文している分には、リーズナブルな店である。
今日の客はというと、外出着を着た五〇代と三〇代の女性二人組、ドレスシャツを着た五〇代男性、カジュアルの五〇代男性と二〇代男性、クールビズの五〇代男性二人組、Tシャツの五〇代男性、カジュアル姿の五〇代男性と三〇代女性、カジュアルの三〇代男性、地味なドレスシャツの四〇代男性二人組、野球帽をかぶったカジュアルの六〇代男性とドレスシャツの六〇代男性、ドレスシャツの六〇代男性、クールビズの四〇代男性二人組、スーツにネクタイ姿の四〇代男性、Tシャツの二〇代男性、クールビズの六〇代男性、クールビズの四〇代男性など。圧倒的に男性が多く、そしてクールビズと半袖ドレスシャツが目立つ(どちらも半袖シャツだが、ピンク、緑など濃い色が付いている場合をドレスシャツと表現している)。店の外観は下町大衆酒場そのものだが、価格はやや高く、客層もホワイトカラーとご隠居さんが中心。やはり、土地柄というものだろう。朝だと、夜勤明けの工員が来ていたりするのだろうか。いつか、開店直後あたりに来てみたいものである。(2007.8.3)