橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「つるかめ食堂」

classingkenji2007-07-25

今日は朝から青空が広がる。失敗を極度に恐れる気象庁の発表はまだだが、梅雨明けに間違いない。期末試験が終わった。採点はこれからだが、まあ一区切りついた。
というわけで、今日は昼食にビールを飲むと決めていた。どこにしようか。大学のある江古田には、昼からやっている大衆酒場があるのだが、昼からビール飲んでるところ、学生にみられたくないな(笑)。そうだ、新宿へ行こう。思い出横丁の「つるかめ食堂」がある。
まずは、ビールとポテトサラダを注文。次には「バカでアホでフラメンキン」を注文することに決めていたのだが、残念なことに売り切れ。ちなみにこれは、「牛肉のガーリック味天ぷら」のこと。スペイン語でバカは牛肉、アホはニンニク、フラメンキンはコルドバの家庭料理の名前。この店の名物料理である。仕方がないので、「ソイのあたま」を注文。これは簡単に言えば、大豆入りのキーマカレーである。これをご飯に載せた「ソイ丼」というのがこの店の最大の売り物なのだが、そのソースの部分だけというわけだ。大衆食堂らしからぬスパイスの効き方で、なかなかうまい。
仕事もあるし、今日はこれくらいにしておこう。新宿は、完全に夏。青空を背景に、高層ビルが輝く。西口の巨大な排気口は、いつの間にかすっかり緑の蔓に覆われている。まるで、ジャングルの中の廃墟のようだ。ホームレスが、汗をかきながら缶チューハイを飲んでいる。OLが手で日差しを避けながら足早に通り過ぎる。(2007.7.24)