橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

恵比寿麦酒記念館

classingkenji2007-03-30

株主総会の後は、恵比寿麦酒記念館のテイスティングラウンジへ。ここはでサッポロの定番商品のほか、限定品などいろいろな種類のビール、ポレールワインなどが二〇〇−四〇〇円で試飲できるビール好きのパラダイス。ヱビスなら二〇〇円、エーデルピルスでも二五〇円。試飲グラスは三〇〇mlほどだが、その半分くらいのグラスで四種類試飲できる試飲セット四〇〇円というのもあり、最初の人にはこれがお勧め。原則としては、麦酒記念館の展示をひととおり見てから入ることになるが、展示はもう何回も見ているので素通りする。入り口に券売機があり、ここでチケットを買ってから、タップの並ぶカウンターでオーダーする。オーダーするごとに、酵母入りクラッカーの小袋が一つ付いてくる。今日は予想していた通り、四月発売予定の「ヱビス・ザ・ホップ」の試飲をやっていた。ザ・ホップという名前と緑のデザインから、おそらくはザーツホップをふんだんに使った切れの良いピルスナータイプと予想していたが、やはりこれまでのヱビスとも共通点を持たせようということか、ややボディの強い味。ホップも、ハラタウとブレンドしているようだ。これはこれで悪くないが、もう少しすっきりさせてもよかったのではないか。
平日の昼間だから、客は少ない。二〇歳代のカップル、三〇歳ほどの白人カップル、子どもを二人連れ、自分は試飲セットを飲み、子どもにはジュースを飲ませている三〇代の女性、一人でヱビスを飲む二〇代男性、一人で試飲セットをじっくり味わっている五〇代女性、それにビールを飲みながら、今日の株主総会での発言についていろいろ批評している六〇代男性三人組など。週末は、なかなか席が取れないほど賑わう。都内最高のビールの穴場は、ここ。ここでひととおり飲んでから、ガーデンプレイス内のビアレストランへ行けば、安上がりである。(2007.3.29)