橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「大根や」

classingkenji2006-12-16

大学の仕事が少し遅くなり、八時ごろ経堂駅に着く。ほぼ同じ頃に経堂駅に来ていた妻と落ち合ったが、これから食事を作るのは面倒だというわけで、久しぶりに来てみたのがこの店。経堂駅からだと、すずらん通りを二分ほど歩き、左に入ったところにある。店内にはいると、左手に八人ほどが座れるL字型カウンター、右手には最大一〇人くらいのテーブル席。落ち着いた雰囲気の店だが、今日は忘年会らしい十数人のグループが、テーブル席にぎゅうぎゅう詰めで座っていたので、少々賑やか。
この店で美味しいのは、店名の通り大根料理で、大根のホタテあんかけ、ふろふき大根、ブリ大根など。量もあって、五〇〇−六〇〇円ほど。このほかにもカウンター内の壁に、おすすめメニューが所狭しと貼られていて、迷ってしまう。これまで食べたものに、ハズレはない。刺身もなかなかよく、今日食べた寒ブリ刺は、脂ののったカマの部分で、大変美味しかった。酒は酔鯨、一の蔵など四種類で、五〇〇円前後。焼酎も数種類を置く。ビールは、モルツの生グラスが四八〇円、中瓶が五〇〇円。サワー類もひととおり揃っている。料理、酒とも、リーズナブル。ふだんはこんなに賑やかではないので、落ち着いて飲めるはず。わざわざ電車に乗ってくるほどの店ではないが、近くに住んでいるならときどき顔を出すといい。(2006.12.15)