橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。記事の内容は原則として、執筆当時のもの。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

錦市場「元蔵」

 堺町通から東へ進んで、柳馬場通を渡ったところにあるのが「元蔵」。11時に開店して夜10時まで営業しており、年中無休。昼酒を飲む地元客でいつも賑わっている。メニューには麩の田楽や漬物の盛り合わせなど京都らしいものもあるが、中心は串カツやおでん、唐揚げに牛すじ煮込みなど、ごく普通の大衆酒場風である。酒メニューが充実しており、長居しても飽きることがない。とくに日本酒は京都産を十種類ほど揃えていて、季節によっては限定酒なども出してくれる。錦で腰を据えて飲むなら、この店が本命だろう。

錦市場の大衆酒場「元蔵」