土田美登世『やきとりと日本人』
やきとりは、私の居酒屋考現学にとっても重要な研究対象であり、拙著『居酒屋ほろ酔い考現学』でも一章をあてて論じている。ところが今度は、やきとりとやきとり屋の歴史から、調理法、素材、そしてやきとり屋の現況まで論じてみせた一冊が現われた。とくに、現代の名店のうち高級店についてはほとんど知らなかったし、ご当地やきとりの数々とその成り立ちについて、焼き鳥の調理法などについて書かれた部分など、たいへん面白い。名店といわれる「バードランド」に熱電対まで持ち込んで、調理の温度を測定するところなど、ここまでやるかと驚かされる。
扱われているのは、主に鶏肉を焼いた焼き鳥で、豚の内臓を焼いたもつ焼きは脇役の扱い。こちらについてのもう一冊が、書かれて然るべきだろう。誰か、書きませんか。

- 作者: 土田美登世
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/12/11
- メディア: 新書
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