橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

みかわや

classingkenji2014-03-24

自宅のマンションの向かいに「みかわや」という酒屋があるが、ここが夜になると赤提灯を点して居酒屋を始める。看板に「ちょい飲み やすちゃん」とあって、居酒屋としての店名は「やすちゃん」らしい。ちゃんとカウンターとテーブルがあり、煮込み、おでん、焼き魚などの料理も出す。角打ちのようなものだから格安で、ビール大瓶、生ビールともに四〇〇円。日本酒は三種類ほどあって、銀盤の大吟醸が一杯四〇〇円、幻の瀧大吟醸は五〇〇円。近所の中高年が集まって、テレビを見ながらときおり言葉を交わしている。飲んで帰って、家の前まで来たというのに(しかも家にはいつも、旨い日本酒を置いてあるというのに)、ついふらふらと入ってしまうことがある。こんな店があるというのは、なんだか心強い。(3014.3.10)

豊島区西池袋5丁目22-4