橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「希紡庵」

classingkenji2012-05-27

先日行った「あまてらす」と並んで、以前から行きたいと思っていた池袋の日本酒バー。今日、思い立って仕事のあとに行ってみることにした。外観は隠れ家バーのようで、中の様子はまったくわからない。思い切ってドアを開けると、L字型カウンター七席だけという小さな店内。もっとも、補助椅子を出してあと一−二人入れることもあるようだが。
酒は八〇種類ほど。遊穂、玉桜、風の森、白露垂珠、鳳凰美田など、近年評価の高い有名酒も多いが、知らない酒がさらに多い。最近の日本酒界は、次々に新名酒が登場して、なかなか全容がつかめない。料理は、板わさ、豆腐、干物など日本酒に合う簡単な肴と、数種類の刺身。日本酒バーらしいラインナップである。
板わさをいただきながら、三種類ほど酒をいただいた。基本は九〇ミリリットルグラスで、四〇〇円前後が中心だからリーズナブル。保存状態もよく、旨い酒ばかりである。
見ていると次々に予約の電話が入ってきて、店主は「済みません満席です」「九時以降でしたら……」などと、大わらわ。予約殺到の店らしい。今日は入れたのも、たまたま入れ替わりに出てきた客がいたから。予約した方が良さそうだ。(2012.5.1)

豊島区東池袋1-7-10 B1
17:00〜23:00 月祝休