橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

金沢「高崎」

classingkenji2011-10-31

仕事で、金沢へ。金沢の店はかなり知っているつもりだが、それでも酒を飲むようになってから定住したわけではないので、老舗で行ったことのない店がいくつかある。この店もその一つで、今日が初めて。入ると右手にカウンター一〇席、左にテーブル席、奥に個室がある。
郷土料理店に分類されるような店だが、地元住民に愛される名店で、観光客やビジネス客より地元客の方が多いようだ。治部煮、鮴、ドジョウの蒲焼き、のどぐろ、がす海老など、主だった地元の味はすべて揃っているが、地元客に人気なのは、蟹の身がぎっしり入ったカニクリームコロッケカニの甲羅揚げ。変わったところでは、甘エビ塩辛がすばらしい。甘エビの身と味噌を別々に塩漬けにし、、小鉢に甘エビを盛った上に、冷凍させてから薄切りにした味噌の塩辛を載せたもの。ほんの少し金粉をあしらってあって、見た目もきれいだ。ちょうどひやおろしの季節で、菊姫天狗舞手取川など揃っていたが、当然のように相性はすばらしかった。
場所は、香林坊の交差点からやや駅よりの、109や日本銀行金沢支店の裏手。鞍月用水のほとりにある。(2011.10.21)

金沢市長町1丁目2-22
17:00〜22:00 日休