金町「ゑびす」
「大渕」のある居酒屋通りから駅の方に戻る。駅前は再開発が進行中で、更地になっている場所もある。そのすぐ近くにあるのが、この店。コの字型カウンター一五席だけの小さな店で、六〇過ぎかと思われる夫婦が切り盛りしている。カウンターの下に「天羽乃梅」のボトルが何本も並んでいる。飴色のカウンターが、落ち着いた雰囲気をかもしだす。
酎ハイが二五〇円、ビール中瓶五〇〇円、ウイスキーが三〇〇円、日本酒は剣菱と菊正があり、いずれも三七〇円。料理は魚介類が中心で、いか刺身と白魚が三〇〇円、帆立三五〇円、マグロブツ四〇〇円など、安い。天ぷらやフライも、種類が多い。刺身でいちばん高い五五〇円のインドマグロ中とろぶつ切りを注文すると、大きなぶつ切りが八個に、中落ちの部分が添えて出てきた。ツマは、茗荷、エゴノリ、そして菊の花。彩りもよく、実に美味しい。カウンターにいた六〇代の客も、これを見て思わずつられて注文する。
もう四〇年近くも、ここで店をやっているという。再開発で立ち退きを迫られたりしなかったのかと聞くと、「うちは関係なかった」とのこと。しばらくは大丈夫そうである。(2009.10.20)
葛飾区金町6丁目8−7