橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

渋谷「鳥竹総本店」

classingkenji2009-04-08

映画「砂の器」ロケ現場か、というわけで、外出ついでに寄ったのが、井の頭線の西側出口の近くにあるこの店。ずいぶん久しぶりである。この店はお昼前に開店で、昼から飲める店。近くには二四時間営業の「山家」もあり、おしゃれな若者の街というイメージの強い渋谷にあって、異色の一角である。ご覧の通り、角地で一角の切れた変則的な形をしているが、この様子から見ると、ビルに建て替えたときにセットバックしたのかもしれない。忙しそうだったので、店の人には聞きそびれたが、映画の画面にちらりと見えるエンジ色の暖簾や、鰻と焼鳥を二枚看板にしているところなどみると、やはりロケ地はここだったのではないか。
この店、一階にしか座ったことがない。上階のほうはかなり広いらしいのだが、一階は階段と厨房にスペースをとられて、やや狭く、しかも変則的な形をしている。入って右側に、L字型カウンターがあって、一人客はここに座る。焼鳥は、三〇〇円からと高めの価格設定。たしかに大きいのだが、それでも割高感がある。ただし味はよく、たとえばボンジリは開いて骨を取り、形を整えて焼くなど、手がかかっている。塩焼きには、レモンとわさびが添えられてくる。ビールは大瓶が六三〇円。おとなのやきとり屋である。(2009.3.31)

渋谷区道玄坂1-6-1
11:45〜25:00 第2月休