橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「ネップ・モイ」

先日の続きである。歌舞伎町の「清瀧」の後は、タイ料理店に入って食事をした。味は普通で、安くもなかったので、店そのものは紹介しない。紹介したいのは、ここで飲んだベトナムのスピリッツである。アルコール度数は三九・五度。黄色糯米を主原料に、ウイキョウやシナモンを加えて作られるというその味は、口当たりはまろやかで、ほんのりと甘みがあり、ココナッツのような、あるいはタイ米を炊いたときのような芳香がある。ウイキョウというとギリシャのウゾやトルコのラクを思い出すが、そこまでクセは強くなく、飲みやすい。世界には、まだまだ私の知らないうまい酒があるものだ。楽天では、一〇〇〇円を少々超える程度の値段で売られている。
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