橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2011-06-06から1日間の記事一覧

高橋渡『東京シネマ酒場』

著者は、二〇〇七年まで恵比寿ガーデンシネマの支配人を務めていた人物。映画人である。だから居酒屋ガイド本でありながら、映画史の本でもある。冒頭に置かれたのは、新橋の「ダイヤ菊」。小津安二郎の愛した酒の名を冠し、蔵元から取り寄せる店である。そ…