橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2011-02-28から1日間の記事一覧

大分「居酒亭 時」

高杉良の小説『生命燃ゆ』は、大分市にある石油コンビナート建設の中心を担った実在の技術者が主人公。建設が始まった頃、大分はホテルも旅館もない田舎町だった。そこで割烹料理屋と契約して別棟を借り受け、社員の宿泊所にあてたと書かれている。「こつこ…