橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2007-07-22から1日間の記事一覧

貝原浩『世界手づくり酒宝典』(農山漁村文化協会・1998年・1400円)

貝原浩は、天才だった。とくに、人の顔を描くのが巧かった。いつも墨と筆の入った筒を持ち歩いていて、興が乗ればどこでも人の似顔絵を描いた。居酒屋で飲んでいても、カレンダーの裏や本の見開きにさっと描いて見せた。あれだけの実績を持つ画家であるにも…