橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「新日の基」

classingkenji2007-05-26

今日は、出版社との打ち合わせで有楽町のガード下へ。初めて行く「新日の基」である。ガード下のかまぼこ型の空間を上下に仕切った半地下と中二階の二つのフロアがあり、かなり広い。インテリアは普通の大衆酒場だが、店の主人は英国人で、店員にも外国人が多く、英語のメニューがある。客も、サラリーマンに混じって二割ほどは外国人客。ガード下にしては、なかなかユニークな店だ。隣の「日の基」とは姉妹店で、主人のアンディさんは「日の基」店主の娘婿らしい。メニューは魚介類が中心で、刺身は二〇種類ほど揃う。まず盛り合わせをいただいたが、種類が多く、たいへん美味しい。追加で頼んだカワハギの薄造りも、手のひらほどのサイズのものが丸ごと一匹、肝もどっさりついて、一二〇〇円。穴子の天ぷらも、大振りのものが一匹で六八〇円。このあたりの大衆酒場で魚を食べるなら、三州屋と双璧かもしれない。ビールはサッポロで、瓶はサッポロラガー。ギネスの樽生も出す。サワー類とホッピーがひととおり揃い、値段は中焼酎二八〇円、外二一〇円とそれぞれ別に表示してある。魚好きの集まりにはいい店だと思うが、場所が場所だけに天井が低く、音が反響して騒がしいのが難点といえば難点である。(2007.5.25)