有楽町「登運とん」
思い立って、久しぶりに入ってみた。有楽町から日比谷へ抜けるガード下の名店だ。一九五三年創業という老舗で、もつ焼きともつ煮込みがメイン。このあたりのガードは昌平橋に次いで古い一九一〇年に完成したもので、曲率半径の大きいゆったりしたアーチが実に美しい。もつ焼きの煙がもうもうと立ちこめ、電車の音と客の笑い声がこだまするこの空間は、関東大震災と空襲を耐え抜いたのだ。
残念なことが、ひとつ。この店の売りの生ホッピーを頼んだところ、中ジョッキに氷をたくさん入れてもってきた。これでは、生ホッピーの良さの大半が失われてしまう。氷が半分ほど入っているから、量は半分ということにもなる。他の客が「生ホッピー、氷なしで」と注文したのでみていると、小さなタンブラーでもってきた。都心のこの場所で、大衆的な値段を保っていて、しかも昼から営業だから楽ではないと思う。しかし、多少高くなっても生ホッピーは生ホッピーらしく飲みたい。(2017.9.1)
千代田区有楽町2-1-10 11:30〜23:00 無休