橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

Nippon Craft Beer Festival 2016 in すみだ

classingkenji2016-03-29

二年ぶりに行ってきた。ますます盛況、ますます若い人が多くなった。私など最長老で、年上の人を探しても十指に満たないほど。前売り券が三九〇〇円で、これに試飲のチケットが一〇枚ついてくる。追加のチケットは三〇〇円だから、入場料が九〇〇円ということか。飲みたいビールのあるブースへ行って、チケットを渡し、コップに注いでもらうというシステムである。ビールは一三社四〇銘柄ということで、以前より減っただろうか。一二〇−三〇ミリリットルほど注いで三〇〇円となると、コスト的に厳しい部分もあるのかもしれない。種類はますます多様になり、スタンダードな英国スタイルのエールから、米国スタイル、フルーツ系、オリジナル系など。
利きビール大会というのをやっていて、ステージに集まった若者たちのグループが、ヴァイツェンデュンケルヴァイツェン、ポーター、アイリッシュエールから、アイリッシュエールを選び出すというのが出題。ヴァイツェンは淡色だから間違えるはずはないが、あとは濃色だから、ある程度の知識と感覚がないと難しい。若者たちの解答は、三組が正解で、あとの二組はデュンケルヴァイツェンを選んだもの。なかなか好成績といっていい。
アトラクションで若手芸人または芸人志望の素人が四組ほど出てきた。つまらないので聞いている人は少なかったが、面白いことが一つ。ある芸人が、ビールといってもいろいろありますがと前置きして、「アサヒビールの好きな人」と挙手を促したところ、手を挙げたのは二人。キリンビールは一人。ところがサッポロビールには十数人が手を挙げた。やはり、クラフトビールの味の分かる人はサッポロ党なのである。(2016.3.27)