橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

稚鮎

classingkenji2014-05-01

この季節になると毎年作るのが、稚鮎を使った酒肴である。
まずは、素焼きに山葵をあしらい、上から醤油を掛け回したもの。もちろん養殖物だが、弱火で少し時間をかけて焼けば、すっきりした味に仕上がる。濃醇な酒がいい。これとは別に作ったのは、山椒煮。酒と醤油、みりん、砂糖を合わせた煮汁を煮立たせ、実山椒とともに泳がせるように煮込み、汁が少なくなってきたら木の芽を混ぜ込む。これも、濃醇な日本酒に合う。市販の山椒煮も悪くはないが、ちょっと味が濃すぎる。酒肴にするには、自分で作った方がいい。