橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

要町「かなめ」

classingkenji2014-02-16

池袋に引っ越したといっても、実はいちばん近い駅は要町。ふだんは池袋駅を使うことが多いので、あまり足を運ばないのだが、ご近所さんだから居酒屋にもひととおりご挨拶しておかなければ。というわけで、まず行ってみたのがここ。池袋には、JYONNOBIというイタリアン風味のダイニングがある(江古田にも同じ名前のイタリアンがあるが、どういう関係なのかよく知らない)。この店が開いた、イタリアンも出すもつ焼き屋で、最近できたらしい。
まずはサッポロの瓶ビールをいただき、もつ煮込み(四五〇円)を食べながら、じっくりメニューを観察する。煮込みは比較的あっさりした味噌味で、まあまあの出来。なるほどメニューを見ると、はつ、れば、かしら、もつ煮込みなどと並んだあとに、トリッパのトマト煮込み、カシラのコンフィ、ホタテのポワレムール貝のガーリック焼きなどが並んでいる。串焼きは一二〇円が基本だが、たん、とんとろは一八〇円と高い。店の前に「鶴齢」の垂れ幕があるが、「鶴齢」「八海山」「麒麟山」「楯野川」「神亀」など、なかなかの日本酒が十数種類。値段は、五八〇円から六八〇円が多い。例によって小さめグラスの盛りこぼしだから、安くも高くもないが、近くで飲めるのはうれしい。
もつ焼き・イタリアン・日本酒の組み合わせとなると、どうしても「やきとんひなた」との比較になる。残念ながら、味はもつ焼き・イタリアンともに数段落ちるが、近所にこんな店が出来たのはうれしい。(2014.2.11)

豊島区要町1-19-7
17:00〜24:00 不定