橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

雑誌の日本酒特集

雑誌で、日本酒特集が相次いでいる。少し前だと、昨年一二月の『PEN』。「星付き50銘柄が決定しました!」というのがキャッチフレーズで、かなり売れたらしい。
最新の二冊が、「モテる日本酒。」がテーマの『HANAKO FOR MEN』と、「心尽くしの『日本酒』」がテーマの『サライ』。どちらもページ数が多く、取り上げられた銘柄と店の数も十分で、読み応えがある。しかし中高年向け雑誌だけあって、日本酒の歴史や製法、市場動向などにも目配りした『サライ』に軍配をあげておこう。『HANAKO』には別の問題がある。それは、どう見ても日本酒の味などわからなそうな若手タレントを使い、カウンターに座らせていること。酒や料理を前にしたその表情は、「何すか、これ」と言ってるようにしか見えない。全体としてはちゃんとした特集だけに、力を入れて取材をしたスタッフたちがかわいそうになってくる。
とはいえ、若者向け雑誌にまで本格的な日本酒特集が出現するというのは、最近までは考えられなかったこと。今年が日本酒反攻の年であることを確信した次第である。

サライ 2014年 02月号 [雑誌]

サライ 2014年 02月号 [雑誌]

Hanako FOR MEN vol.10 モテる日本酒。 (マガジンハウスムック Hanako FOR MEN)

Hanako FOR MEN vol.10 モテる日本酒。 (マガジンハウスムック Hanako FOR MEN)