橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

神戸・三宮高架下

classingkenji2013-10-26

講義を済ませたあとは、神戸大学院生の村上さんに案内してもらって、神戸のヤミ市跡を見て歩く。まずはJR神戸駅附近の高架にへばりついた店舗群の前を通って新開地へ。湊川公園まで行ったあと元町へ向かい、高架下を三宮まで。さすが専門家の案内で、主要部分を無駄なく回ることができた。
そのあとは、高架下の「ごん太」へ。有名店らしく、本店と東店の他、洋風のスタンドバーもできたようだが、今回は本店へ。ともかく安くて、メニューが豊富。一八時まではキリンの生ビール中ジョッキが二五〇円。大瓶は時間にかかわらず四八〇円。関西らしいメニューでは、和牛どて串が三〇〇円、穴子と茄子のはさみ揚げが四五〇円。メインの日本酒は白鶴だが、小鼓の冷酒が六〇〇円で、これは美味しかった。二人で二時間以上、ヤミ市談義をしながら食べて飲んで、勘定は五〇〇〇未満。これは素晴らしい大衆酒場である。
高架下だけに列車の音がうるさく、自然に客は大声になるが、これもまた、高架下酒場の醍醐味というものである。(2013.9.8)

ごん太・本店
神戸市中央区北長狭通1-31-10
17:00〜23:30(土16:00 日祝15:00〜)無休