橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「酔い心地 真っ先」

classingkenji2013-07-09

何度も書いているけど、池袋にはいい日本酒を置く店が多い。その多くは、日本酒好きの比較的若い店主がここ数年の間に開いた店だ。この店も、そのひとつ。池袋といっても、駅から北側へ10分ほど歩いた住宅地の中である。
小さな店で、カウンター六席と小さなテーブル席。日本酒の品揃えはひんぱんに変わるようだが、而今奈良萬、飛露喜あたりはたいがい置いているとのこと。料理も工夫されていて、ホワイトボードの週替わりメニューなど、けっこう手が込んでいる。今日いただいた鯨の刺身は、赤身と皮を薄く切ったものを交互に重ね、重ねたまま二枚ずついただくというもの。なるほど、希少でめったに食べられない霜降りの尾の身のような味だ。而今の旨みにぴったりだ。チーズの西京漬け、鮫軟骨の梅肉和えなど、珍味系も揃っている。
人通りの少ない場所だけに千客万来とはいかないようだが、常連らしい客が何人も入ってきて、二杯ほどで帰って行く。
たまにはちょっと足を伸ばしてみよう。駅方向へ戻る途中には「やまや」もあるから、ワインを買って帰るというのも悪くない。(2013.6.8)

豊島区池袋3-55-5 池袋ファーストビル103
18:00〜24:00 火休