橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「而今」の会

classingkenji2013-06-21

いま、いちばん注目されている日本酒といえば、三重の「而今」だろう。この「而今」の純米酒から大吟醸まで、何と一五種類も試飲できるイベントがあるというので、行ってきた。場所は、日本酒と鰻の店として名高い千駄木の「稲毛屋」である。
ずらりと並んだ「而今」の壮観なこと。この一五本を三〇数人で飲み倒す。自分の杯に注いでは横の人に回し、ひととおり回った瓶は、互いにやりとりしながら再度楽しむという趣向。
どれも美味しかったが、「而今」はふっくらとした旨みと甘味が持ち味だから、米を磨きに磨いた大吟醸よりは、純米吟醸の方がいいように思う。この日は生酒中心のラインナップだったが、とくに純米吟醸おりがらみ・八反錦が素晴らしかった。料理も刺身、漬け物、伊賀牛など、日本酒に合うものが揃い、〆の鰻のひつまぶしは絶品だった。イベント以外でも、行ってみたい店である。

文京区千駄木3-49-4
11:30〜14:00 17:00〜21:00 水休