橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

広尾「つばき食堂」

classingkenji2012-08-14

恒例の聖心女子大学での集中講義。猛暑のなか、今年も五〇人ほどの学生が集まった。この大学は、さすがにしつけの良さそうなお嬢さんが多い。私語はほぼ皆無で、居眠りは多少あるものの、受講態度はたいへん良い。
講義の後、あらかじめ目をつけておいた新しい店に入る。町屋風の店構えは、好感度が高い。このあたりは、意外に高い店が多いので要注意なのだが、この店は値段入りのメニューが外に出ているので安心。入ると右側にカウンター、左側に個室が二つ。壁に貼られたメニューからみると、家庭料理中心の居酒屋メニューに、ご飯、おにぎり、お茶漬け、味噌汁など。なるほど、名前の通り食堂としても使えそうだ。カウンターの向こうで、割烹着姿の女性が一人で調理をこなしている。開店したのは、昨年暮れとのこと。
値段は、良心的。ヱビスの生が五五〇円、中瓶は六五〇円、焼酎は五〇〇円から。ビールでのどを潤した後、いただいたのは岩手の「あづまみね 無濾過中取り純米吟醸美山錦」(一〇〇〇円)。料理は、薬味がたっぷり載った冷やっこ(三〇〇円)、関鯖一夜干し(九八〇円)など。居酒屋不毛地帯に、いい店ができた。来年も来ることにしよう。(2012.8.2)

渋谷区広尾5-1-23
17:00〜23:00