橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

沼袋「沼袋バルkadoccino023」

classingkenji2012-07-03

仕事のあと、もつ焼きを食べに「たつや」へ寄る。帰りに見かけて入ったのが、この店。五月にオープンしたばかりらしい。
名前の通り、ちょっとスペイン風にイタリアンを加味したようなバルである。グラスとカラフェ(スパークリングの場合はボトル)を選べるワインが一〇種類ほど。カクテル、ウイスキー、焼酎などもひととおり揃っている。料理メニューの冒頭を飾るのは「生ハム原木」で、骨付の塊からそのつど切り出すというもの。量は十分で、飾りに黒オリーブをあしらい、五八〇円。コストパフォーマンスは素晴らしい。他は、カプレーゼ(五八〇円)、鮮魚のカルパッチョ(五八〇円)、レバームース(四八〇円)、ぶどう牛の赤ワイン煮込み(八三〇円)など。カウンター中心の店内はほどよい狭さで、外にテラス席がはみ出す。冬はともかく、これからの季節には良さそうだ。二階にも席があるらしい。沼袋も、梯子酒にいい町になってきた。(2012.6.21)

中野区沼袋1-36-6