久住昌之『昼のセント酒』
名作の誉れ高いマンガ『孤独のグルメ』だが、主人公の井之頭五郎は酒を飲まない。だから、何となく原作者の久住昌之も酒を飲まないものと思っていたら、実は酒好きらしい。本書は作者が、東京のあちこち(第六話だけは北海道だが)を散策したあと、銭湯に入り、そしてビールを飲むという趣向のエッセイ。帯カバーには「ビールを特別おいしくする街歩き」とのコピーがある。なるほど。出てくるのは、浜田山、北千住、三鷹、立会川、吉祥寺など。浜田山では、私も縁があった「かのう」が登場するのがうれしい。
序文で著者が書いている。夜の酒は、疲れたから、嫌なことがあったから、記念日だから、などと言い訳が多い。しかし昼の酒にはそれがない。飲みたいから飲んでいる、ただそれだけだ。だから、昼間の酒はサイコーだ、と。なるほど。ということは、昼酒を飲む余裕のなくなっている最近の私など、最高の酒を飲みそびれているわけだ。早く仕事を片づけて、昼酒を飲みに行くことにしよう。
- 作者: 久住昌之,和泉晴紀
- 出版社/メーカー: カンゼン
- 発売日: 2011/12/24
- メディア: 単行本
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