橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

幡ヶ谷「太陽食堂」

classingkenji2011-09-19

仕事のあと、ふと思い立って幡ヶ谷へ。幡ヶ谷で飲むのは、初めてだ。
笹塚もそうだが、幡ヶ谷は甲州街道によって南北に分断された街だ。もともと街道沿いに発達した街が、交通量の増加によって街道が拡幅し、分断されてしまう。道幅が狭く路面電車が走っていた頃なら、電車通りが街の中心となって南北の一体感を作り出していたかもしれないが、いまでは巨大なクレバスが街を貫く。
南側を歩いてみたが、居酒屋は少ない。一軒のやきとり屋に入ってみたが、どうということはないので省略。北側で見つけたのが、この店。若者中心の店で、活気がある。焼きとん、やきとり、野菜焼きが一〇〇円均一で、メニュー構成など四文屋にそっくり。おそらく四文屋から独立した店なのだろう。しかし酒は、中生と中瓶が四五〇円、サワー類が三五〇円、ホッピーセットが四〇〇円と安めだから、いうことはない。刺身だけはちょっとスタイルが違っていて、四文屋より大きめのものが二本で三〇〇円。レバ刺しは、食べ応え十分。また来てみたい店である。(2011.9.5)

渋谷区幡ケ谷2丁目8−10
17:00〜24:00 無休