橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

豪徳寺「ピコンバー」

classingkenji2011-09-11

二軒目は、この店。豪徳寺駅の近くにあるカフェバーだが、昔からアイレイモルトに力を入れていて、種類は多くないが珍しいものを置いている。何年か前、ポート・エレンを置いていて驚いたことがある。今日いただいたのは、カオリラの1980年、セレブレーション・オブ・カスク。まろやかでフルーティーなピート臭がすばらしい。ただし、期待したほどの鮮烈さに欠けたのは、マスターによるとボトルを開けたばかりだからのようである。ウイスキーもこれくらいになると、グランヴァン並みのデリケートさであるらしい。
料理のメニューも多く、ほの暗い雰囲気もいい。住宅地のせいもあるが、照明の暗さという点では、都内指折りかもしれない。マスターは猫好きで、ご飯目当てに近所の猫たちが店の前に出没するのも楽しい。(2011.8.20)

世田谷区豪徳寺1-45-2
月〜土 14:00〜26:00
日 12:00〜18:00 火休