橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

高崎「だんべ。」

classingkenji2011-09-07

帰りは、高崎駅から新幹線。高崎駅売店の充実ぶりに感心し、買い物の目星をつけてから、居酒屋を物色する。駅の周辺は店が少なく、チェーン店ばかりが目につくが、歩道橋の陰になって目立たないこの店を見つけて、入ることにする。
ビルの一階で、カウンターとテーブル席。黒っぽく塗った木を基調とした、落ち着いたインテリアである。まずはヱビスビールの中(五〇〇円)をいただく。お通しに出てきたのは、なんと牛もつ煮込み。メニューに能書きがあったが、開店以来、お通しはこれとのこと。ていねいに作られた、塩味で汁気の少ない煮込みで、たいへん美味しい。さらにいただいたのは、豆の甘みの強い寄せ豆腐(四八〇円)、すっきりした水の味がする刺身こんにゃく(四二〇円)、分厚くサーモンピンクに皮の銀色が残っているのが美しい「ぎんひかり」というブランドのニジマスの刺身(六八〇円)、赤城鶏のもも串(一六〇円)、群馬豚のカシラ串(二〇〇円)。酒は、「龍神」の亀の尾と山田錦、「結人」の純米吟醸あらばしり。いずれも、濃醇タイプでフルーティーな香りがあり、美味しかった。
高崎の居酒屋には、正直言ってあまり期待していなかったが、この店はすばらしい。出張の時などは、ぜひ寄ってみよう。(2011.8.13)

高崎市八島町62  松栄堂ビル1F
17:00〜0:00 無休(日曜日は不定休)