橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

有楽町「銀楽」

classingkenji2011-06-13

二軒目を求めて、有楽町の丸三横丁へ。「銀楽」を外からちょっと覗いてみたら、あの高齢女性と中年男性の親子の姿がなく、別の中年男が店をやっている。気になって、入ってみた。以前は注文しなくてもデフォルトの串焼きがでてくる店だったが、今は注文に応じて出す普通のスタイルになっている。味は、以前に比べて明らかに落ちている。
会計を済ませて出るときに、あのおばあちゃんはと尋ねると、施設に入っておられるとのこと。驚いたことに、息子さんの方が亡くなったのだという。戦後の生き残りのような店が、また一軒消えてしまった。(2011.5.2)