大分「こつこつ庵」
次に行ったのは、太田和彦の本でも紹介されている有名店、府内城址近くの「こつこつ庵」である。まず、外観に驚かされる。堂々たる切妻屋根の木造建築だが、正面の壁面が古いホーロー看板で埋め尽くされている。店内にも所狭しと飾られているが、最近流行のレトロを装った店にあるようなイミテーションではない。本物である。店主の松本じつおさんは、四〇年前にこの店を始める前、電気関係の仕事をしておられた。そこで電信柱に打ち付けられていた看板が、役目を終えて捨てられるのはもったいないと、店の装飾に使うことを思いついたのだという。
焼酎は、九州のものを中心に三〇〇種類もある。お客さんたちが立ち寄るたびに思いを書き残す落書き帳は、なんと三七七冊目。いかに親しまれている店であるかが分かる。りゅうきゅうの他、わた酢、キラスマメシ、だんご汁など、郷土料理の種類は多く、大分県全域をカバーしている。大分市では、この店は絶対に外せない。
大分市府内町3-8-19 11:30〜22:30 不定休