橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

下北沢のバラック酒場

classingkenji2011-02-08

話は前々回に戻るが、「楽味」の次の二軒目は、北口市場へ行くことにする。もう立ち退いた店もあり、閉店したらしい店もあるが、駅寄りの一角には、まだバラック飲み屋が残っている。そのなかの一軒に入ることにした。
酒は焼酎、日本酒、ビール、酎ハイの四種類くらいしかないし、料理はちょっと日の経ちすぎたおでんくらいしかない。カラオケがあって、歌うこともできるが、その料金はどうなっているのか分からない。飲んで食べて歌って、会計は一人二五〇〇円均一。この店も、あと一年くらいだとか。この雰囲気を味わえるのは、あとわずかな期間である。