橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

『東京人』2011年1月号

特集は「東の横丁 うまい店」。もちろん、スカイツリーを意識した特集で、記事は押上から始まる。取材と執筆は、太田和彦。太田によるとこのあたりでは、ここ数年、昔ながらの長屋アパートに澄む芸術系の若い人が増えたという。谷根千にも通ずる動きということになるが、どの程度定着するものか。太田はこのほかに、東日本橋浅草観音裏も取材している。十条は森まゆみで、斎藤酒場で美味しそうににごり酒をすすっている。小岩は瀬尾幸子で、先日紹介した「さくら」で酎ハイを飲んでいる写真が。赤羽はマンガ家の清野とおる。その他、町屋、堀切、立石など盛りだくさん。テーマ別にも、藤田千恵子の「今宵はコレで一杯!焼鳥、蕎麦、うどん」、浜倉好宣に取材した新横丁など、いくつかの記事がある。
東京に対する関心も多様だから、毎月買うような雑誌ではないと思うが、居酒屋好きなら今回は明らかに買いである。

東京人 2011年 01月号 [雑誌]

東京人 2011年 01月号 [雑誌]