名古屋「大甚」
先々週に続いて、名古屋出張。仕事を終えて、伏見駅そばの「大甚」へ向う。週末のせいか、五時前というのにもうほとんど満員状態。一人の初老の客が入り口の戸を開け、中をのぞき込むなり諦めて引き返してくる。あ、だめかと思ったが、いちばん奥の隅が一席空いていた。後から入ってきた客は、二階席へ通されていた。
まずは、瓶ビールを注文。一杯飲んで落ち着いたところで、料理を取りに行く。この店は、大きなテーブルに料理が所狭しと並べられていて、ここから好みのものを取り、最後は店の人が皿の形をみて勘定するというシステム。まずは煮穴子、そして筍と高野豆腐の煮物をいただく。薄味で色も美しく、たいへん美味しい。ビールの後は燗酒をいただく。少々熱すぎる嫌いがあるが、飲むうちに適温になってくる。そのあとは、〆鯖とセリのおひたし。こちらも申し分ない味。
大きなテーブルが並び、客はテーブルを囲むように座る。熟成して黒褐色が支配的する落ち着いた店内は、十条の斎藤酒場に通じるものがあり、料理の味はれっきとした日本料理店に劣らない。名店といわれるのも納得だ。常連なら皿の形で値段が分かるのかも知れないが、新参者には無理。しかし、安いので心配はいらない。合計から逆算すれば、一皿平均四〇〇円というところだろう。
一つ苦言を。若い店員が、酒の注文をしばしば忘れる。ただ「酒」と注文すると、つねに適温に湯煎されている大徳利を持ってくる。小徳利を注文すると、新たに熱湯で燗をつけるようだが、店員がそのまま忘れ、催促すると口を付けられないほど熱いのが出てきた。向かいの客も同じ目に遭っていたから、たまたまではないようだ。ここでは、普通に大徳利を飲む方がよさそうだ。(2010.11.20)
名古屋市中区栄1-5-6 16:00〜21:00 日祝休