橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

名古屋「元気酒場 呑んき」

classingkenji2010-11-25

三軒目を求めて、栄の街をさまよう。黒板に「名古屋名物 手羽先唐揚げ 名古屋コーチン串 味噌串カツ どて煮」などとあり、しかも酒のメニューにホッピーがあるというので、入ってみたのがこの店。外観からすると、地元の個人が経営する大衆酒場という感じなのだが、カウンターに座ってメニューをよくみると、大庄の経営だった。しかし、個人経営のテイストで、味も悪くない。しかも、安い。名古屋名物はだいたい四〇〇円台だし、名古屋コーチンは二五五円。ホッピーはセット三八〇円で、中・外とも二〇〇円。ビールは中ジョッキが四九〇円、中瓶が四五〇円。
客はあまり入っていない。奥の座敷で、日本シリーズを見ながら盛り上がっているグループが居るようだが、カウンターは私一人だけだし、テーブル席もちらほらという感じ。みんな家で(あるいは球場で)日本シリーズを見ているのかも知れないが、それにしては「だるま」との差が大きい。後で調べてみたが、大庄チェーンでも「元気酒場 呑んき」という業態は、これ一点だけらしい。四〇種類以上の業態を展開する大庄としても、ちょっと珍しいのではないか。いい店だと思う。入る店に困ったら、ここに入るのも悪くなさそう。(2010.11.6)

名古屋市中区錦3-18-6 山清ビル1階
17:00〜04:00 無休