橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

沼袋「ホルモン」

classingkenji2010-11-01

大学から近いことに気付き、ときおり出かけるようになった沼袋。今日は、ちょっと有名なこの店へ。紺地に白で縁取った「ホルモン」の赤文字が堂々たる風情である。
店内は並行カウンターとテーブル席がいくつか。もつ焼きは一本一一〇円だが、レバーとコブクロだけはちょい焼きというのがあって、ほんの少しだけ炙った超レア状態のものが一本一二〇円。ビール大瓶五〇〇円、焼酎一杯二三〇円と安い。焼酎は珍しいサッポロ焼酎で、注文すると梅シロップの瓶とともに出してくれる。カウンターに座る地元の中高年らしい常連の皆さんは、たいがいこれを飲んでいらっしゃる。
レバのちょい焼きは、旨みと甘味、歯応えととろりとした舌触りのバランスが絶品。他の串焼きも、すべて美味しい。大衆酒場でありながら、一人静かに盃を傾ける雰囲気がある。近所の人がうらやましい。(2010.10.12)

中野区沼袋1-38-3
17:30-22:00 日祝水休