橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

西麻布「浜の家」

classingkenji2010-08-11

外苑西通りから六本木通りに出たところ、道路の反対側に、いかにも場違いな一軒家がある。それが、この「浜の家」。提灯には「おでん やきとり」とあり、外壁に所狭しと下げられた木札には、レバ、ハツ、カシラ、シロ、牛すじ、薩摩揚げ、京がんもなどと、品名と値段が明記されている。場所柄、庶民的な店構えをしていて実は高いのではないかと警戒する人も多いだろうから、いい配慮である。
二階もあるらしいが、一階のカウンターに席を取る。いい雰囲気だ。カウンターには、中年サラリーマンの一人客が何人か。二階には若者のグループがいるらしく、ときおり一人二人と階段を上っていく。と思ったら、カウンターの後ろのテーブル席に、若いサラリーマン三人組が座った。おでんも焼鳥も、普通に美味しい。
外へ出ると、目の前に「権八」の、すでに居酒屋の範疇を大きく外れた巨大な建物が。好対照である。この界隈に迷い込んで、普通の居酒屋に入りたくなったら、ここへ直行することとしよう。無休というのもうれしい。(2010.8.2)

港区西麻布2-14-7
11:30〜14:00 17:00〜24:00 無休
http://keiichi1208.hp.infoseek.co.jp/hamanoya1.htm