橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

木挽町「楓」

classingkenji2010-08-05

ビールでのどを潤したあとは、木挽町へ。目指すは、静岡料理が売り物のこの店である。
静岡料理というものが存在するかといえば少々あやしいが、他の地域にあまり見かけないユニークな料理はいくつかある。まず、静岡おでん。黒はんぺんはおでんのネタとして欠かせないが、そのまま、あるいはフライにして食べることもある。そして桜えび。桜えびは駿河湾の特産で、静岡では鮮度のいいものを生のまま、あるいは釜揚げ、唐揚げ、かき揚げ、炊き込みご飯などで食べる。
もともとこの店は、静岡から進出してきたらしい。メインは静岡おでんだが、刺身その他の魚料理が充実していて、地酒も磯自慢はじめ、何種類かおいている。富士宮焼きそばなども出す。静岡おでんの特徴の一つは牛すじが入ることだが、なぜかこの店では牛すじを別の鉢に盛って出している。味も別のようで、おでんに牛すじ煮込みが添えられているかっこうだ。
銀座のはずれというポジションで、隠れ家的な使い方ができそうだが、けっこう客が集まっているので、予約した方がよさそうだ。(2010.7.20)

中央区銀座3-14-5 銀座Jビル
11:30〜14:00 18:00〜23:00 日休(土は予約のみ)