橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「一軒め酒場」

classingkenji2010-06-29

最近、激安のチェーン居酒屋が話題だが、一人客向きではなさそうなので、これまで敬遠していた。ところがこの店、前を通ったら一人客用のカウンター席があるのが見えた。というわけで、入ってみる。
場所は、池袋南口の養老乃滝ビルの一階。以前はこのビル、一階から五階まで「養老乃瀧」だったように記憶しているが、業態多様化にともない、地階が「だんまや水産」、二・三階が「養老乃瀧」、四階が「楽顔亭」、五階が「魚彦」になっている。カウンター席といっても、大きな長テーブルの真ん中に衝立のように仕切りを立てたもので、以前の「玉乃光酒造」八重洲地下街店のような造りである。
サッポロ生ビール中ジョッキ三四〇円は、安い。サワー類も一九〇円。今日は敬遠したが、ウイスキーを生ビールで割った「バクハイ」が二九〇円。料理は九九円の串カツから。いちばん高い部類に属するメジマグロ刺し(三八〇円)を注文したら、養殖物なのかものすごく脂ののった分厚い切り身が四つ出てきた。手の込んだ料理はない。ノリチーズ、もろきゅうなど、切っただけのもの、揚げ物、炒め物などが中心。バイトでもすぐに調理できるものに特化して、コストを下げているのだろう。サッポロビール好きにはパラダイスかも。朝八時からやっているらしい。(2010.6.11)

豊島区西池袋1-10-15 1F
8:00〜24:00