橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

青森「小政」

classingkenji2010-06-01

そろそろ居酒屋の開く時間だ。この日、最初に訪れたのは「小政」。創業から五〇年、現店主の増田浩司さんが姉夫婦から店を受け継いでもう二〇年。建物は一度建て替えたが、江戸時代の旧家から譲り受けた梁を使ったり、古い民具を飾ったりして、昔からの店の雰囲気を保っている。一〇種類ある日本酒はすべて県産酒。料理も、けの汁(野菜と豆腐の煮物)、貝焼味噌、ホヤ、ツブ貝の壺焼きなど地のものがほとんど。
店主の悩みは、ご多分に洩れず客が減っていることだ。以前は開店と同時に大挙してやってきた地元客が、めっきり減ったが、出張や観光で訪れる県外客がいるので、何とか続いているという。といっても、見ていると客が続々やってくる。良い居酒屋には、やはり人が集まるのである。(2010.4.29)

青森市古川1丁目18-3
17:00〜22:00 日休