橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

柴又「川千家」

classingkenji2010-05-18

今日は、ふと思い立って柴又へ。柴又は、なかなか交通の不便な場所で、小田急線沿線からだと千代田線に乗って常磐線の金町まで行き、京成線に一駅だけ乗るか、二〇分ほど歩くということになる。今日は天気も良いし、歩くことにする。
帝釈天の参道は、週末ということもあり、たいへん賑わっている。二三区内の名所は、賑わっているといってもたいがい、地元の人や仕事中の人が一定比率を占めているものだが、ここは大半が観光客。これほど観光地らしい観光地は、他には浅草くらいのものだろう。観光資源として、「寅さん」が果たした役割はきわめて大きい。隅田川の向こうの城東地区全体が「下町」に分類されるようになった大きな要因のひとつといってもいいだろう。
ちょうど食事時なので、鰻を食べることにする。まずはビールをいただく。蒲焼きが出来るまでの肴は、「鰻の洗い」。これはそぎ切りにした鰻の身をさっと湯にくぐらせ、冷水に取ったもののようで、身のよじれ方が生きの良さを物語る。蒲焼きはその場で割いて料理しているはずだが、客の入りを先読みしてうまくタイミングを取っているのか、意外に早く出てくる。味は良好で、さほど高い店ではないからコストパフォーマンスはいい。
帝釈天の中をちゃんと見たのは初めて。明治期に作られたという木の彫刻がなんとも見事だ。そのあとは「寅さん記念館」と矢切の渡しを見物する。東京の東の果ては、寅さんのおかげで、東京イメージの一部として定着した。このことは、人口分布や人口動態にも、ある程度まで影響したはずである。(2010.4.24)

葛飾区柴又7-6-16
11:00〜19:00 
http://www.kawachiya.biz/